2009-02-22

シモーヌ・ヴェイユと美学

哲学者アランの教え子であるシモーヌ・ヴェイユについて、初めて聞いたのは確か高校生の時。
優秀な成績で哲学を修めながら、労働者の苛酷な境遇を共有するために女工となり
後にド・ゴールの自由フランスにレジスタンスとして参加、34歳でその生涯を閉じた。

シモーヌ・ヴェイユが、リセ教員の職を休んで自ら女工という境遇に身を置いたことは、例えば映画「 微熱 愛と革命の日々」で、ニーナが医者を辞めて女工になったのとは全く違う。

ニーナは自分の信奉する主義のために、労働者を教化しようと工場に身を置いた。彼女にとって、労働者は”あわれみ”、”指導すべき”存在。
それは独りよがりの、押し売りの愛であり、報いられない時には絶望や怒りを伴うのでは。

しかしシモーヌ・ヴェイユは、苦しむ人々と共に苦しみ、同等な存在として人々の不幸を真に共有することを、魂において望んでいたように思える。
シモーヌ・ヴェイユには、虐げられ、使い捨てにされる名もない人々への、透徹した愛の視線がある。

このような、全身全霊で同苦する存在としてのシモーヌ・ヴェイユのことは知っていたけれど
美学との関連は知らなかった。

大学の図書室で借りてきた「西洋美学のエッセンス 西洋美学理論の歴史と展開」
(青山先生がディドロを担当されているので、借りたのだけど)
このP403~P410、「現代西洋美学の動向」に、シモーヌ・ヴェイユの美学が取り上げられている。
これからじっくり読んで勉強する予定。