2009-09-22

「罪深き」身体と暴力性

文化の記号論的基礎としての「排除の原則」または「犠牲者のでっち上げ」の論理について精神分析学者トマス・シャシュは、ゲームの理論を利用しながら西欧中世の魔女狩りを次のように説明する。
先ず中世の神、キリスト及びキリスト教神学は、悪しき神及びその眷属(悪魔・ウィッチ・妖術師)の存在という信念から切り離すことはできない対概念である。この対概念という視覚から見ると、ウィッチについて語られる性的無軌道というイメージもカソリック教会の公的反性的態度の一方の片われということになる。そこで、魔女たちを焼き、彼女らの身体の破壊を強調するのも、中世の人間の神学的世界観という前提において考えなければならない。神学的世界観では、身体は弱く罪深き存在である。このゲームの公的ルールによれば、肉体は悪で、魂は善である。肉体を痛めつけることは、魂を高貴なものにする最も確かな方法である。

殉教は、魔女の火あぶりと直線で結ばれている。
西欧中世においては性的行為の方は…著しく乱れていた。ところが法は、殆どの俗人が従うつもりのないような高い規準を設けていた。当時の人間は、あたかも自分達が法にのっとっていきているかの如く装い、自ら信じるために、このような法に従わない人間がいることを強調する必要に迫られていた。こうして「犠牲山羊(スケープゴート)」が創り出される。スケープゴートには得体の知れない力の持ち主である女性が選ばれる。